こんにちは。
今回は日本での受験者が少ない、ロシア語検定試験(ТРКИ)第3レベル(C1)の受験体験について書いていきたいと思います。
ロシア語検定試験(ТРКИ)の概要についてはこちら↓
ロシア語検定試験 はじめに - 日本対外文化協会
ロシア連邦 教育科学省が認定する国家能力試験になります。
※ロシア語能力検定試験は日本のロシア語能力検定委員会が実施しているもので、ロシア語検定試験(ТРКИ)とは別のものになります。
ТРКИは日本での受験者数の少なさもあってか、日本語で手に入る情報がかなり少ないです。かなり個人的な受験体験記になりますが、読んでくださった方のお役に立てれば幸いです。
【勉強期間、受験時の私の状況】
勉強期間:2021/10頃~2022/8
事務職会社員、コロナ渦中のため2日に1日在宅勤務
正直在宅勤務が無ければ勉強を続けられなかったと思います...(今在宅勤務が無くなって強くそう感じます泣) 正直仕事が空いた時間とかにサボって 勉強してました。
受験を決めた頃のロシア語力、受験のきっかけ
大学時代に留学経験があります(旧ソ連 の某国)。大学4年生の頃に第2レベルに合格しています。大学を卒業してから全くロシア語と関係ない仕事に就き、ロシア語とはだいぶご無沙汰。第3レベルを受けるのは結構無謀だったと思います。
ロシア語とは全く関係のない生活を送っていましたが、それでも心のどこかで学生時代を捧げたロシア語のことが忘れられませんでした。
当時仕事について色々と悩み思い詰めてしまい、精神的に限界に達した時にロシア語を再開しよう!と思い立ちました。このまま何の目標も無くだらだら過ごしているのがもう嫌だ!もう一回何か夢中になって取り組んでみたい!という気持ちでいっぱいでした。あと今思い返すと、ロシア語を再開すればまた新しい可能性が開けるんじゃないか、という淡い期待がありました。まあそう簡単に現状を打破できるはずありませんが(泣)
2021年の10月頃のことです。
勉強方法
2021年10月~
大学時代の教科書で文法をざっくり復習、第二レベルを受験した時の問題集の復習をしました。基本的なことから再度学び直していたのでこれで8月の受験に間に合うかなあと不安でした。この頃は試験対策というより、無くなった勉強習慣をつける時期だったなと思います。本格的な勉強が久しぶり過ぎて始めた当初は勉強が楽しかったです。
一人でも対策しやすいЧтениеとАудированиеを中心に勉強しました。
独学で準備を続けていましたが、正直一人でどうやって勉強を進めていいか分からず、オンラインレッスンを利用することに決めました。
2022年1月~4月半ば
土曜の夜、オンラインで週1のロシア語レッスンを受けました。
たまに有給や早上がりを利用し平日もレッスンを入れました。
本来1コマ1時間のレッスンだったのですが、いつも2時間近くしてくれた先生には感謝しかないです...本当にこの先生じゃなかったらТРКИ対策間に合わなかったです...。
最初は「Мозаика. Книга для студента」というТРКИ第2レベル用の教科書を使ってТРКИでよく出るテーマ(教育、文化、科学など)についての知識や単語を身に着けていきました。正直ТРКИの内容は単なる外国語の試験の範疇超えちゃってると思います。
授業では「Мозаика. Книга для студента」の1単元について先生と読み合わせをしたあと、テキストの内容についてディスカッションしました。
土曜の夜に2時間のレッスンを受けて、翌日日曜日の朝に授業の復習(最低2時間)をしました。
私は先生からpdfを貰いましたが、調べたところ「Мозаика. Книга для студента」は下記HPからダウンロードできるようです。↓
副教材で「Учебно-тренировочные тесты по русскому языку как иностранному B2-C1」教科書のシリーズも使用しました。(Чтение、Аудирование. Говорение、 Письмоを使用)ロシア語の専門書店ナウカ で購入できます。
語彙に関しては、単語ノートを作成しました。使用している教科書に出てきた単語や授業中に出てきた単語などをその都度単語ノートに用例と一緒に書いて、仕事の休み時間や通勤電車の中など時間があるときに見直しました。8月の受験までに13冊の単語ノートを作成しました。
自宅では勉強する気にならない時もあるので、カフェや図書館もよく利用しました。あとおすすめなのはカラオケボックス 。テキストの音読をしたいときに便利です。
聴解対策として、ロシア人youtuberの動画などをよく聞いていました。同じのを何回も聞いて耳ならしをしてました。とにかくロシア語に触れ続けるのを意識して生活していました。
2022年4月半ば~8月(試験日まで)
「Мозаика. Книга для студента」を読み終わったので、この頃から「В мире людей 」を代わりに使い始めました。使い方としては「Мозаика. Книга для студента」とだいたい同じです。私は先生にPDF版をもらって勉強しましたが、ロシア語書籍専門書店のナウカ でも買えますよ。↓
GWぐらいからは過去問に取り組み始めました。試験勉強を始める時期が遅かったのもありますが、今振り返るともっと早く過去問対策すればよかったなあ、、とちょっと後悔しています。やはり試験なので実力も重要ですが慣れが大切です。過去問は日本対外文化協会のHPやサンクトペテルブルク 大学などでダウンロードできます。他にも先生がどこかから見つけてきた過去問を使用しました。ПисьмоとГрамматикаは過去問を解き始めた頃から手ごたえがあったのですが、他の3科目に関しては最後まで苦しみました(泣)
過去問ではありませんが、下記の問題集も実際の試験と同じ形式なので、模試として使えます。回し者みたいになってきましたが、もちろんこの教科書もナウカ で買えますよ!
レッスンを始めた頃(1月~4月)は仕事に余裕があったので比較的勉強時間がとれましたが、夏に近づくにつれて会社で色々ありすぎて心と体の余裕がなくなり大変でした(泣)。職種、会社の状況によりますが、社会人の勉強方法としては時間がある時に今だ!とまとめて勉強するのがいいのかもしれません。毎日少しずつでも時間を取るのが理想ではあるけど、現状に合わせるしかありません。一番大事なのは細々とでも続けることだと思います。
試験前の手ごたえ
得意な作文は絶対大丈夫!文法もいつも合格点は取れるので安心。会話もちゃんと対策しているのが伝われば合格点はくれるかな。。という感じでした。問題は聴解と読解。この2科目に関しては受験対策始めたばかりの頃から対策しているのに、最後まで苦しめられました。サンプル問題を解いても点が取れる時と取れない時の差が激しく、大丈夫!という手ごたえを得られず受験日を迎えました。まあ点取れそうな3科目さえ受かればダメだった2科目再受験すればいいんですが、ここまで頑張ったんだから1回で受かりたい!と強く思っていました。
ついに受験日!2022年8月
1日で5科目すべて受験することもできますが、私は丸一日テストとか無理だと思ったので2日に分けました。学生の頃と違って試験慣れてないので正しい判断だったと思いますが、それでもしんどかったです!半年近くプライベートの時間をささげた試験だったので、今までの努力を無駄にしたくない!と神経が高ぶって試験前1週間はずっと生きた心地がしませんでした。
試験会場はいつも通り東海大学 品川キャンパス 。最初のガイダンスは受験レベル関係なくその日の受験者が集められていました。やっぱり学生っぽい人が多かったです。平均年齢が高い職場で働いているので気分が上がりました。ガイダンスが時間通りに始まらなかったのがロシアっぽいなと思いました。
ちなみに初日は第3レベルの受験者は私1人、2日目は私以外に5~6人受験者がいたようです。やっぱりすっごい少ないですね。今の世界情勢も影響しているのかもしれません。第4レベルはもっと少ないんだと思います。
受験科目の案内は確か受付で受け取りました。私のрасписаниеはこちら↓
1日目
9:45~ 45分 会話
10:50~ 35分 聴解
11:45~ 75分 作文
2日目
9:45~ 90分 文法
11:30~ 60分 読解
1日目
【会話】いきなり会話の試験でした!予想外、つらい。
試験官はロシア人(多分)女性。前半は緊張でうまく言葉が出てこなかったけど、試験中盤から調子が出て結構すらすらと言葉が出てきました(気がする、自分の体感)。最後のディスカッションテーマは「ウクライナ 侵攻に伴う反ロシア感情について、この時代におけるロシア語、ロシア文化を学ぶ意義」みたいな感じでした。話しにくいセンシティブなテーマで絶望しましたが、精一杯回答しました。試験時間が45分間となっていますが、そこまでかかっていないような気がします。30分くらいかな。
【聴解】正直この科目に関しては終わった後、再受験だ(泣)と思いました。特に前半の大問2つがボロボロでした。回答はほぼ当てずっぽう。後半は比較的根拠をもって回答を選べたので、後半が全部合ってて、前半の当てずっぽうで回答したのがいくつか正解だったらギリ合格かなあと思いました。
【作文】これが1番勉強の成果を発揮できました。難なくスラスラと解けました。聴解でボロボロになった後だったのでメンタルが回復しました。しかも最後の問題のエッセイに関しては、前日に復習していた問題と全く同じのが出ました!作文に関してはかなり問題が使いまわされているようなので、過去の問題を使ってしっかり対策するのがおすすめです。
2日目
【文法】
いつも通り可もなく不可もなく。最低でも70点は取れたなという感じでした。ちなみに第三レベルの作文を受験する人達と同じ教室でした。
【読解】
絶望再び。最初の大問でつまずき、時間が無くなり、焦って内容が頭に入らなくなりました。今まで色々なことを犠牲にして頑張ったのに、、と試験中に泣きそうになりました。今考えるとたかが試験に思いつめすぎでしたね。できた感が全くないまま終了。
最後の読解がボロボロだったので、終了後試験会場の東海大 の学食の端っこで落ち込んでいました。帰りの電車でも気分が沈んで立ち直れませんでした。帰りの電車ではスマホ で「試験落ちたと思ったけど受かった」みたいなエピソードを検索しまくって読んでました。
やけになって遅めのお昼ご飯にピザをデリバリーして食べました。
試験結果発表!!
例年の試験発表日(11月頃)が近づくと、毎日郵便ポストに行って試験結果届いてないかな~と確認していたのですが、普通にゆうパック みたいなので配達員から受け取りました
結果は....合格!
獲得点数は下記です。
Письмо 90p. (90%) 合格
Говорение 109p.(73%) 合格
Лексика,Грамматика 73p.(73%) 合格
Чтение 99p.(66%) 合格
Аудирование 99p.(64%) 不合格
手ごたえ通りの結果でした。一番自信あった作文だけ異様に点数が高い
まあ合格ライン超えたかと思っていた会話、文法も思った通り。読解は奇跡的に合格最低点ピッタリ。聴解だけ落としたけど、他の4科目が合格かつ落とした科目も60%以上なので救済措置発動!
日本の賞状と違って、紙質ペラッペラで重みが無いけど、今までもらった合格証で一番うれしかった。
高得点で余裕の合格だったらかっこよかったけどそうはいかないですね。ギリギリ再受験なしで済んだ感じですが、スコアで結果が出るものではないので、受かっちゃえばこっちのものです。最後まで諦めずに頑張ったなあと自分を褒めてあげたいです!
合格証を受け取ってすぐケーキを買って合格祝いをしました!!
第3レベルなら学生のうちに取る人もいますが、一回挫折したロシア語をまた勉強しなおして、第3レベルに合格できたことで自信になりました。ちなみに合格後は何も変わってません。今まで通り地味な事務員を続けております。
試験勉強をしていた頃はロシア語を使う仕事がしたい!と思っていましたが、今はだいぶその気持ちも落ち着いて、仕事にできなくても趣味としてでもいいから細々と続けていきたいなと考えています。
試験に合格できなかったらそんな風に考えれなかっただろうと思います。一度もうロシア語は私には無理だったんだと離れてしまったけど再挑戦して結果を出せたから、仕事にできなくてもある程度は満足した感じです。
社会人だけどТРКИに挑戦したい人の後押しに少しでもなったら幸いです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。